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専門人材の基盤的教育推進プログラム2010

1.プロジェクト名称

 摂食嚥下介助の有効性と安全確保の指針:医療福祉現場の人材育成にeラーニング応用

 

2.プロジェクトの概要

 超高齢社会を迎えたわが国において、誤嚥性肺炎の原因となる摂食・嚥下障害に対するケアおよびリハビリテーションの重要性が非常に高まっているが、摂食・嚥下障害に対する教育方略や実習環境は未だ不十分な現状にある。

 本プロジェクトでは、摂食・嚥下障害のケアにおける知識と実践の融合、ならびに適切で安全なチームアプローチを提案し実践できる人材育成を図るためのeラーニングを併用した学習プログラムを開発し検証する。

 

3.プロジェクトの内容

超高齢社会に突入したわが国において、誤嚥性肺炎の原因となる摂食・嚥下障害に対するケアおよびリハビリテーションの重要性が非常に高まっているが、摂食・嚥下障害に対する教育方略や実習環境は未だ不十分な現状にある。

本プロジェクトでは、

①摂食・嚥下がどのように障害されているか、その実態をリアルに捉える。

②摂食・嚥下の介助が実際にはどのように不適切になされているかを、できるだけ、実態として捉える。

③不適切な介助がどのような知識・情報不足によるのか明らかにする。

④不適切な介助は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師の立場からそれぞれどのように捉えられるか可視化する。

⑤実際の障害例で不適切な介助を、各専門分野から指摘し、チームとして安全適正な介助法に改める手順とポイントをまとめる。

⑥上記のまとめをeラーニングプログラムに作成し、実際の教育媒体として有効かどうかを検証する。検証に当たってはプログラムがCRI技法に添った無理のないものであることを確かめる。

⑦作成したeラーニングプログラムを卒業前教育、卒業後教育、各専門分野横断的教育に有効なものに仕上げる。

 

 具体的には、摂食嚥下障害のケアの分野における、適切で安全なチームアプローチを提案し実践できる人材の養成を目的としてeラーニングとセミナーをブレンドした教育プログラムを開発し検証する。

 ID手法の1つであるCRI技法(注1)をもとにした知識の修得と技術力・実践力の修得に効果的なeラーニングコースとセミナーコースを開発する。

 産学連携による協力病院・福祉施設からの実践的な問題点や課題をもとにして開発するeラーニングコースは、基礎となる解剖学的・神経学的知識の教授や、実際の摂食・嚥下場面の動画やアニメーションを用い、正常と障害像の比較から理解を深め、臨床家でも読影の難しい嚥下造影検査(Video fluorograptic examination:VF検査)についても理解しやすく工夫し、受講者のレベルに合わせ段階に応じて自らスキルアップを図ることができるようにする。

 併せて、「言語聴覚士は咀嚼・嚥下の視点」「理学療法士は姿勢・筋緊張のコントロールの視点」「作業療法士は手の動き・道具・環境の視点」「看護師は口腔ケアの視点」など、各関連職種のアプローチ手法を一目で理解できる教育コースとする。

 一方、セミナーコースでは、eラーニングコースの内容をもとに事例課題の講義や各関連職種によるグループ検討を通じ、摂食嚥下障害のケアの実践的なアプローチ手法とチームアプローチについての重要性について学習する。

 受講対象者は、摂食嚥下障害のチームリハビリテーション医療に参加する、言語聴覚士(以下、ST)理学療法士(以下、PT)、作業療法士(以下、OT)、看護師(以下、Ns)やケアワーカーと研究協力施設に在学しているST、PT、OT、Ns学生とする。

 受講事前の受講者の状況を把握するために、オンラインでのアンケート、知識テストを実施してから、eラーニングコースを受講する。

 セミナーコース受講後は、設定した目標のパフォーマンスの評価とアンケートを実施し、さらに、臨床でのプロジェクトの活用状況をオンラインでアンケートを実施し、その有用性を検証する。

 

(注1)CRI(Criterion-Referenced Instruction)とは、北米ではポピュラーなIDのひとつで、学習目標達成に必要な過不足のない学習内容を分析・設計・開発することをいう。

 

4.プロジェクト終了後の方針

 本プロジェクトの経験を踏まえ、参画する病院や施設、学校、教員、臨床における関連職種者を増やし、摂食嚥下ケア教育のeラーニング教育プログラムの規模を拡大する。

 各専門学校において具体的な臨床教育経験が少なく、OJT中心であった摂食嚥下ケア分野の養成について、学内授業から臨床教育全体を踏まえた教育プログラム開発を継続する。

 また、開発した摂食嚥下ケア教育プログラムは、情報を継続して公開していくことで、ID手法を用いたeラーニングのモデル校として機能していきたい。

 さらに、研究開発の結果は、学会での発表を予定している。