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専修学校教育重点支援プラン2009

1.事業名

 eラーニングにおける教員と学習者を繋ぐコーディネーターの役割

 

2.事業の概要

 現在のリハビリテーション教育で目指すものは、臨床実践能力の向上であるが、そのためには教育内容の充実が図られなくてはならない。

 学生たちには、限りある時間のなかで学習する知識や技術の増大が求められることから、効率的・効果的に学習できるシステムを構築し、学生たちの学習を支援することが課題となる。

 eラーニングシステムは、双方向性の機能を活用することで、学生の学びの意欲が高まったときにタイムリーに対応することができ、学習効率を高める手段の一つである。

 さらに、個別対応が可能であることから、学習理解度の低い学生に基礎的内容を丁寧に理解させることや、学習理解度の高い学生に実践的臨床の最新の情報の学習機会を提供するなど、さまざまなレベルの学生の学習環境と学習意欲に個別に対応できる可能性が高いと考える。

 その観点から、平成18・19年度の文部科学省委託事業において、ID手法をベースにしたeラーニングコースを開発・実施し、検証したところ成績向上などの効果が認められた。

 平成20年度には、前年度までの事業の中で指摘されたコンテンツ作成にあたる教員の負荷軽減について、教員と開発技術者をとりもつコーディネーター的役割を担う人材の投入がキーのことで、その育成プログラムを開発した。

 コーディネーターは、コンテンツ開発技術者と教員のコミュニティー形成を担うことを主目的としたが、学習効果の高いコンテンツ開発には受講者である学生の視点も同程度に重要であることから、今年度は学生をコミュニティーに参加させることを付加して、昨年度のコーディネーターの活動とコミュニティー運営の知見をベースに、コーディネーター育成プログラムを改善するとともに、実践的なコーディネーター活動を展開して、昨年度事業をよりよく発展させたい。

 平成18・19年度の文部科学省委託事業において、ID手法をもとにした知識領域の学びと実践的パフォーマンスの修得に効果的なeラーニングコースを開発し、実施検証したところ成績向上などの効果が認められた。

 平成20年度には、教員と開発技術者がスムーズに効果的なコンテンツを開発するために、コーディネーター的役割を担う人材育成プログラムを開発した。

 コーディネーターは、ID手法を理解することで、教育内容を「誰に」「何を」「どの程度」習得させるべきかを分析し、達成目標を観察できる表現で指導できる能力が必要である。

 その上で高品質なコンテンツを効率的に開発する時、コーディネーターは、教員とコンテンツ製作技術者とのコミュニティーを形成し、役割分担と協力体制をスケジュールの計画段階で綿密に設計することが重要である。

 さらにコーディネーターは、全体のスケジュール遂行の管理運営者としての役割が重要であることが示唆され、今後のeラーニング展開に必要不可欠である。

 20年度に実施したコンテンツ開発のコーディネーター育成プログラムにおいて、コンテンツ開発技術者と教員のコミュニティー形成を行う育成プログラム作成した。

 開発テーマは、教員の経験や興味により決めたため、内容に学生の要望を入れることが出来なかった。

 学生が学習において、どの段階の、どの内容において理解しにくく、どのような学習の提供を望んで要るかを分析して、コースを開発することでより教育効果が高まると考えられる。

 本事業では、コーディナーターが形成するコミュニティーの中に学生を組み入れ、コンテンツ開発おけるマネージメントについて検討し育成プログラムを開発する。

 ID手法をマスターしたコーディネーターが、学習者分析し、学生が学習について、理解しにくいと感じていることやより深く学習したいと望んでいる内容を調査する。

 学習の難渋点屋やさらに学びたいと要望しているテーマを学校教員に提示する。

 教員は、各テーマについてeラーニング学習による教育効果が高まるコンテンツの設計を行う。

 設計された内容は、コーディネーターが教員と開発技術者のコミュニティー形成しながら教育コースを開発する。

 開発されたコンテンツは、学生に実施、検証し、コーディネーターの活動とコミュニティー運営の知見をベースに、コーディネーター育成プログラムを開発する。

 

3.事業の目的

 eラーニングを活用して教育を行う際、良質なコンテンツの蓄積が非常に重要であるが、教員がその設計・開発・運用の全て担うことは困難である。

 コンテンツは、教育内容を熟知した教員が設計し、メディア技術に精通した技術者が開発することが望ましいと考え、教員と開発技術者の連携をコーディネートする人材の必要性を指摘して、20年度文部科学省事業でコーディネーター育成プログラムと教材を開発した。

 事業において、コーディネーターはコンテンツ開発技術者と教員のコミュニティー形成を推進し、ID手法をマスターして教員のインストラクションを正確に理解し、役割分担と協力体制の構築、スケジュールの管理を綿密に行い、開発技術者と協力して高品質なコンテンツの効率的な開発を目指した。

 一般に専門学校におけるリハビリテーション教育では、教室で人体や疾病の知識・各種施療技法などの一般則を教え、臨床での現実的な事例体験を通じて、臨床家として実践することができる知識、技術、態度を身に付けている。

 医療の高度化とともに、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士には、施療行為の実践場面でますます高いパフォーマンスが期待され、実際の状況と獲得している知識を結びつける的確な判断力も要求されている。

 しかし、最近の傾向として、従来の教授方法では授業についていけず、進級ができなかったり、途中で進路変更をする学生が多くなってきている。

 成績不良者に補習などを実施し改善に努めている一方で、教室での知識レベルの試験では合格するが、実際に臨床で知識を活用する段階でうまくゆかず不合格となる学生も増加の傾向にある。

 今後、専門学校教育におけるより良い教育活動を継続するためには、個々の学生を今まで以上に分析し、把握した上で、効果的な教育プログラムの適用が必要であると考える。

 このような状況において、今後必要とされるeラーニングコンテンツは、教えようと思っている教員の視点以上に、学ぶ対象である学生の現状を考慮して開発することが重要であると再認識された。

 コーディネーターは、学習者をより深く分析し、理解しにくいと感じていることや、より深く学習したいと望んでいる内容を調査するとともに、そのテーマを学校教員に提示する。

 教員は、与えられたテーマについてeラーニング学習による教育効果が高まるコンテンツの設計を行い、コーディネーターが開発技術者と連携して教育コースを開発するべきである。

 今年度は、学習者である学生もコミュニティーに参加させ、教員の経験や興味だけでコンテンツ設計を行うのではなく、学生が、どの段階の、どの内容においてつまづき、どのような学習の提供を望んで要るかを分析することを、コーディネーターの職務に含める形で、昨年度開発したプログラムと教材を改善したい。

 同時に、その過程を検証するために、コーディネーターを使ってコンテンツを開発し、学生に実施・検証する。

 繰り返しの思考機会を与え、自らの責任で判断させ、最も適切な技術・態度を選択できるよう多くのトレーニング機会を提供することが、リハビリテーション分野の教育における知識領域の学習と実践的パフォーマンスの向上に重要であるが、従来授業・実習の教育プログラムに最善に配置されたeラーニングコンテンツを開発することにより、一層の教育効果が高められると確信しているので、本事業の成果が大きくそれに寄与できると考えている。